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"Set locks in a stream"
「流線の鍵掛け」は流体が運動する時に描く線を仮に設定し、その流線をかたち作る錠と鍵を連続させ接合の表情を見せたものだ。
ここでは制作意欲を掻き立てるための役目を持つモチーフを設けた。制作を進めるために利用するかたちの枠的用途と捉え、そのきっかけとして自己の深層にあるものを形容したイメージを持たせた。性質・状態をしめす自立語として、するっと滑らかな、飛び立ちそうな、流れ泳ぐような、具体的に言えば、鳥や魚やイルカのような流体のイメージを持たせた。また、三次元に存在する造形には運動という特徴があり、そして接合要素のひとつとしては可動作用がある。その特徴を作品に効果的に活用できたら立体造形ならではの表情の幅が広がると考え、上皿天秤の機能を利用して形容イメージを強調させる狙いを含ませた。
主立った制作意図は金属パーツを接合させていくことにある。各パーツへの働き掛けは、自分が吸収し貯えてきたかたちへのこだわりから、曖昧な形容イメージに担うかたちを取捨選択し当てはめるところにある。自分の作りたくなるかたちの枠中に接合という現象を感性的にアプローチし、実際の手仕事で接合を見せることに重点を置いた制作だ。
全ては接合パーツをひとつ創作するところから始まる。まず、接合パーツにかたちへのこだわりを摺り合わせる。次に、隣り合わせる未存の接合物をイメージしながら、パーツに継ぎ口を作る。例えば、組み継ぎ(材を組む時に相互に欠きとって組みあわせる接合方法)の溝を作ったり、差しほぞ接ぎ(材を組む時に相互にほぞ穴をあけ楔によって接ぎあわせる接合方法)の穴を開けるなど接合のきっかけ作りをする。そうして生まれた接合パーツから刺激を受けて、新たに続く接合物に思考を巡らせる。再度かたちへのこだわりを摺り合わせながらイメージから実在に起こす作業を行う。無事接合の瞬間を見届けたら、次に隣り合わせる接合物をイメージしながら継ぎ口を作り、そこから受けた刺激によってまた新たな接合物を具現化し接合する。その連続である。
このような制作から生まれる現象を見ていると、まるで鍵穴とそれに合う鍵を作っているようなに感じられた。金属であること、接合であること、そこから「鍵」というキーワードが出てきたことは必然と考え、鍵を掛けるという表現方法によって独自の制作に意味を見出すことが出来た。感性に貯えられたかたちに合わせた鍵と鍵穴を手で作り、その制作によって生まれた鍵穴に合う新たな思想の鍵を掛ける。制作と思想が相乗的に関わり合いかたち作られた各接合パーツは、錠でもあり鍵でもある。感性と制作の間を行き来する経過によって、接合パーツ全てに鍵を掛けて成り立ったかたちは特有の造形を生み出すことに繋がった。
Sculpture
Iron
October, 2003
W3300×D800×H2300


